長崎平戸のカクレ切支丹関連遺跡がリアルバズってる、って・・・その2

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上の画像は『元和(げんな)の大殉教』と言われる、元和年間にあった長崎におけるキリシタンの弾圧を描いた物。

元和の大殉教をwiki で見ると、元和8年(1622)の55名の一斉処刑を言うと書いてあるけど、実際はそれよりも少し前の元和五年(1619)に五人が処刑されたのが始まりと言われています。その5人の火あぶりを描いたのがこの絵。

 

そもそもキリスト教の弾圧については、宗教の弾圧というよりは思想統制であって、

言論の封殺と権威権力の威厳を示す為の行為であったわけで。

一向宗なんかも権威にたてつくから邪魔になって信長にひどい目にあわされているのと似ています。

 

 

禁教令が幕府から出たのは1612年、直轄地に対してだけ実施され、

その他は案外緩かったようです。だからまだまだキリシタンの布教は可能。

 

 

 

この頃の島原藩なんて、九公一民と言われる恐ろしい税率が課せられていて、

宗教関係なく民衆はどん底まで追い詰められていた

酷い拷問も日常茶飯事。これも見せしめの為か役人のレジャーかという感じ。

 

 

しかし政治が悪すぎるとどんなに圧力を加えてもどうしようもない時が来るらしく、

その後の1637年にはとうとう天草島原の乱にまで発展してしまいます。

 

天草島原の乱にはキリシタンだけではなく、元の島原藩の領主に仕えていた浪人や

切支丹ではない農民、町人が大勢参加していて、だからこそ幕府は恐怖にかられたのでしょう、天草城に立てこもった反乱軍を幕府は皆殺しにしています。

その数、何と三万七千とか。

 

とにかく殺しまくった・・・!!

 徹底的に全員死刑

 

幕府にしてみれば逆らう奴は皆殺し的な。

 

 

 

平戸では初代の殿さまは仏教徒キリシタンを弾圧しているけど、
二代目三代目は洗礼を受けたキリシタン
何故キリシタンになっていたかと言えば、貿易に都合が良かったから。
なので家臣も無理やり改宗させたりしています。

ところが天草島原の乱。この頃は三代目の隆信の時代です。まず殿様自身が棄教を迫られたわけで。
その上で家臣も住民もキリシタンは棄教するか処刑か、という事態。
かなり勝手な話ですよね。

 

 

その頃、平戸藩にはまだオランダ商館があって、南蛮貿易は巨大な利益をもたらしていたようです。そうなると平戸藩は幕府にとって警戒するべき対象であり、さらにその繁栄は癇に障る事、限りない。

 

「貿易につながっているキリスト教は許せ~ん!」

「平戸にオランダが来るのも禁止じゃー!」

と言う事で、

とうとう平戸藩のオランダ商館は1641年に些細な事を理由に、

つまり因縁を付けられ閉鎖となってしまったのです(~_~;)

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

☟これは平戸城から見た平戸湾の様子。

沖から小さな船がやって来てます。船の大きさから言えば、今見えてる船が200トンくらいとして、このころの西洋船が500トンから1000トンなんで、

もう少し大きめの船がたくさん入っていたかと。それと国内を回る日本の船と。

 

今でこそ静かな港だけど、オランダ商館が閉鎖されるまでは相当賑わっていたでしょうね・・・(=゚ω゚)ノ

 

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☟ ☟の写真は平戸ザビエル記念教会。

 

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 もちろん明治時代に建てられたものです。(相変わらず写真下手でゴメンナサイ)

私が行った時には拝観料は必要なくて、「お気持ち次第でご寄付を」と言う事でした。

ちなみに礼拝が行われている時には拝観できません、念のため。

 

 

 平戸の街の商店街はモノクロのカラーで統一してあって、とてもキレイです。

 あご(飛び魚)の天ぷらとちゃんぽん麺が美味しかったです。

 

あごの天ぷらの画像がなかったので、あごのだしで。

 


 

 

 

 

きれいな棚田が続く川内峠を越えて、隣の生月島へ向かいます。

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 生月大橋

 

 

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生月島には捕鯨隠れキリシタンの資料を展示する島の資料館があるのです。

 

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ここには隠れキリシタンの生活を再現した部屋があって、

ちょっと不気味なリアル感。

普通の農家の奥にマリア像か弁天様かわからない絵が隠してあったりして・・・*1

 

捕鯨の歴史についてもすごく詳しく展示してあります。

 

静かな島の中にあるちょっと価値アリの資料館。

入館料510円、「JAF会員なら割引ですよ。」って、声かけてくれます。

 JAFと何の関係があるのかは不明(苦笑)。

 

 

 この生月島を回って、後は平戸島へ戻り、平戸でもう一泊したかったけど、

資金の都合で帰りました("^ω^)・・・。

 

平戸に確か、ナントカ酒造のナントカというお酒が世界コンクールでナントカ賞を取ったという話があったのですが、結局それは高いだろうと言う事で、

お土産(自分への)に『平戸蘭館』という焼酎を一本と

『平戸緑』というお茶を一つ。

どちらも香りがよくって嬉しかったデス。

楽しかったですよ~~♡♡

 

 

 

 

 

 

 

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長崎・平戸のカクレ切支丹関連遺跡とかがリアルバズってる、っていう状態になる前に行ってきたので。

長崎は修学旅行で行きました(可愛いかった頃)。なので今回は

 遣唐使の時代から異国への窓口だった平戸へ。

 

なにせかの有名な弘法大師が唐の国へ命がけで出かけたのもこの平戸から。

おおっしゃ!と力が入ります。

と言っても

実は四か月くらい前なので、一部記憶があいまいです(m´・ω・`)m ゴメン…。

 

 

 

まず新幹線で博多から佐世保まで、

そして『松浦鉄道』というローカルな私鉄に乗り替えて『たびら平戸口』まで。

 (海沿いの唐津の方を通るルートもあり。私は帰りに唐津へ。)

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 佐世保からバスで平戸島まで渡るのもあるけど、平戸島の中はバスが少ないので、

たびら平戸口でレンタカーを借りるのがおススメ。

 

西マイカーセンターというお店に電話すると、たびら平戸口駅まで迎えに来てくれるんです(本当)。おねえさん、ありがとう。

 

で、たびら平戸口では必ず食べるのが・・・、ああっ、名前忘れた!

 

中身を言うと、お刺身を乗せ放題の丼!!

も一回言うよ、活きのいいお刺身を乗せ放題の丼!!

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写真撮ったはずなんだけど、見つからないのでネット画像デス。

でもこの写真以上にド迫力。

 

 も~~、こんなにお刺身食べた事ないって程、食べられる。

ハマチとか、ん~~と色々あって、味噌汁とサラダ付き。確か千円くらい。

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平戸大橋の入り口にある海産物センターの前の建物です。

思い出した、『勝手丼』って言うんだった。

大きめの丼からこぼれる程乗せちゃった(*´▽`*)

お店の方、ごめんね(*_*;

 

 

そこでお腹いっぱい食べたら、橋を渡る。

天気がよければこれが絶景!!(写真が下手でゴメンナサイ。)

 

 

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とっても海がきれいです。橋を渡った所に公園があるので、橋の途中で焦らなくても大丈夫(苦笑)。

この辺で既にハイテンション!異国ろ~~まん~~♡

 

平戸城から松浦記念館へ。

 

 

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平戸のお殿様は松浦水軍で有名な松浦氏。

三代目くらいまではキリシタンだったと言われているけど、幕府の

禁令が厳しくなったので棄教して、四代目は完全に仏教徒だったようです。

 

 

その松浦家ゆかりの品々のある松浦資料館。

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 行ってみると感じるのが、これは中々貴重だって感じ。

っていうか、さすがにこの西の果てまでは幕府の手も十分には伸びていない・・・?

 

この時代だと、『いいのかな、これ。マズくなかったのか?』って思うような、

異国趣味の物とか異国の資料とかがしっかり残ってます。

ちょっとΣ(゚Д゚)。

 

 

 

 

 

お殿様のお茶の流派がちんしん流というらしく、お抹茶頂けます(美味)。

松浦鎮信というお殿様の起こしたお茶道とか。

ああ、スマホの写真が出て来ない・・・(´;ω;`)カナシイ

 

 

 

 

 お泊りは絶対おススメなのが

旗松亭(きしょうてい)という老舗ホテル

 

由緒ある平戸の街の中でも由緒あるホテルみたい。

皇室ご用達だそうで、宮様方のお写真が飾ってある。別に有難くは思わないけど、

スタッフの接客態度が優秀だと言う判断にはなるでしょう。実際、

すんごく感じがいい接客!

お値段リーズナブル!!感激!!

洋室は全室禁煙とかで、とってもきれいなお部屋でした。

 

このホテル、展望浴場が素晴らしい°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°

360度パノラマビューで平戸の街と平戸の海が見渡せるんです!

 

大満足の旗松亭。

 

 

 

 

 

 

 なんか、すっかり旅行ガイドみたいになっちゃったけど、

本気で気に入った平戸旅行、次回も続きます。

 

 

 

 

 


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宮川選手への速水コーチのビンタは体罰なのか?容認範囲か?『うみねこのなく頃に』に見る暴力認識の甘さ。

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「速水コーチの処分は重すぎると感じます。」

 

って宮川選手が言ってるのを見て、妙な違和感を感じた。

 

身体の大きな男が小柄な女子を何度も平手打ちしている。

鍛えている女子だからふらつくくらいだけど、

足元の弱い女子なら吹っ飛んでしまうだろう。

 

コーチ本人が認めているように『暴力行為』であって、

『許される事ではない』はずだ。

 

虐待される子供によくあるのが、

『自分が悪いから叩かれた』という変な納得である。

 

確かに速水コーチの処分は体操協会のスケープゴードにされたんだろうけど、

だから、いや、宮川選手がかばっているからこそ、この問題は危険かも知れない。

 

 

 体罰は必要か?』という議論以前に、宮川選手は『罰せられなければならないような悪い事をしたのか?』という事を考えてほしい。

校舎の窓を割って回ったでもなく、隠れてシンナーを吸ったわけでもなく、

万引きを繰り返したでなく、集団いじめを先導したわけでもない(苦笑)。

 危険な練習の仕方をしたとか言って15歳の女子生徒を殴るか?

 

『お前の為だ』という言い訳の元に誰かを暴力の対象としても、

何もおかしいと感じない、って恐ろしい事だ。

それ以上に、殴られた側がそれを愛情と感じたら危険だ。

そうやって暴力を暴力として認識しない伝統が続き、他者を力で支配する感覚が日常化していく

 

その延長線上にあるのが強化本部長とかいう地位にいるあのゴッツイおばさんだ。

 

あの人の発言の断片を耳にするだけでも、どんなに "パワハラばばあ" かという事は

よくわかる。

選手という弱い立場にいる人に向かって、どんなに心理的抑圧を加えているか、

容易に想像できる。

『あなた、オリンピックに出られなくなるわよ。』って!?

オリンピックというレアな目標を持って必死に頑張っている少女に対して、

このせりふがどんなに威圧的か。

 

 宮川選手はあの”パワハラばばあ”を告発したいんだろうし、それは応援したい。

でもコーチをかばい過ぎたら余計にこの問題の根幹が分からなくなるから

 

逆に『コーチのビンタも痛かったが、パワハラばばあの心理的暴力は

耐えられる限度をはるかに越していて、痛いどころじゃない。

コーチが永久追放ならパワハラ婆あは死刑にしてほしい』とか言ったらどうか?

 

確かに比較すれば明らかに ”量刑不当” と感じるから。

 

 

 体操でオリンピックに出ようとすれば、日本体操協会という団体に加入して代表に選ばれなければならない。こういう権力集中は悪い慣習を温存する。

日本体操協会と言う組織の存在自体が見直されるべきかもしれない。

 

でもそれよりも怖いのは、こういう暴力体質がスポーツ界には根深い事。

相撲だってラグビーだって問題になった。

 体操界も同じらしい。

 

そして一番問題なのは、強い者が弱い物に対してふるう暴力に対して

『これは暴力行為だ』

という自己認識が足りなさすぎる人が多い事だと思う。 

 

 

 

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タイトルに書いた『うみねこのなく頃に』というアニメなんだけど、

冒頭部分でおかしなシーンがある。

 

 まりあという幼女が庭で泣きわめく。

家の中に入れと言っても聞かないまりあを、母親が思いっきりブッたたくんである。

 9歳のまりあはぶったたかれて10メートルくらい吹っ飛ぶ。それでも泣き止まないから

母親はもう一度ブッたたく。さらに吹っ飛ぶ。(現実なら子供は骨折か少なくとも顔面挫創とかで、かなりの怪我をするはず。)

 

やっとそこで誰かが止めに入ると『この子は9歳にもなってこうなのよ!!人が何と言っているか!!』と母親が自分の行為を正当化する。そしてこっそり自分の手が痛いみたいな顔をする。どうやらこの母親もかつて虐待されていたと言いたいらしい。

 

さらにひどい事に、止めに入った人に向かって別の人物が、

『やめろ、これは彼ら親子の問題だ。』と言って、放っておく事にするんである。

 

この馬鹿げたシーンを見て、作者側の認識の甘さにがっくり来た。

大勢のスタッフが関わっているのに、誰も何も言わなかったのか?

9歳の子供を吹っ飛ばしておいて、自分の手が痛いもないだろう?

彼ら親子の問題とか言って、放置するべきじゃないだろう?

 

だけどこのシーンは特に問題視されていない。

これを見る年代の人には、このシーンの異様さがわからないらしい。

いや、それを作ってる大人年齢の人達も。

 

どう言う事なんだろう??

 

陰惨ないじめは一向に減らないどころか、学校はカーストの縛りで

キツくなる一方。そもそもスクールカーストなんていうものがある事自体が

不思議。

 

人の痛みのわからない子が増えているようだし、その子の親も似て寄ったりか?

 

 

スルガ銀行では上司が部下に『お前の家族を皆殺し・・・。』とか言って、

成績を上げるように強要していたそうだし。

 

 

 

 

戦時中とかの暴力体質は否定されても、形を変えて今も脈々と生き続けているらしい。

 

 

これはどういう事なんだろうか・・・?

 

 

 

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為政者による歴史書の修正は・・・。

 

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 宝塚なんである。

 

 

オメメバチバチなんである。

 

 

思わず引いてしまう方もいるに違いない、

何と言うのか、昔の少女漫画みたいな画像。

ベルばらとか。

 

 

 

 

しかしこの画像を初めて見た瞬間の気恥ずかしさというのが、

作品を見終わるころには嘘のように消え去る。

 

 

 

それどころか、自分のオメメもウルウルになってしまうんである。

 

 

 

 

 

 

 

舞台は古代日本、大和朝廷の揺籃期。

 

勢力を伸ばし始めた大和朝廷は、周辺の豪族の領地の住民を『土蜘蛛』と称し、

虐殺、征服していた。

 

幼い皇子たちは父王の

『土蜘蛛は心を持たないから退治する必要がある』

という言葉を信じ、見物に出かける。

 

そしてそこで見たのは、毛の生えた土蜘蛛などではなかった。

 

皇子たちは生き残りの赤ん坊を連れ帰り、その赤ん坊は妹として育つ。

 

 

・・・・・

 

 

ってね。もちろんその美しい姫君との恋が伏線になっていくんだけど、

途中で出てくるセリフが意外と内容の濃いものになっている。

 

 

歴史を記録している係官の所へ皇子兄弟がやって来る。

兄はその内容を見て驚く。

 

「これは事実と違う。・・・土蜘蛛退治の事が何も書かれていない。」

 

弟は何でもない事のように兄を説得する。

 

「”歴史”が本当の事とは限りません。場合によっては王家に抵抗する者がいなかった事にする方が都合がよいのです。出来れば殺戮も。後世に残るべき正しい歴史と言うのは・・・。」

 

 「偽りの正しい歴史?わからないなあ。」

 

 

土蜘蛛討伐という名の元に、各地の豪族を支配下に置くための殺戮が続く

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

 

こんな感じ。

 

 

ネタバレになるのでこのくらいにしておくけど、

この作品は面白い!!

 

 

盛り上がる、盛り上がる>°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°

 

 

 

さすがに宝塚の人達は演技も洗練されているし、

舞台の使い方がものすごく上手にできてる。

 

ダンスが見事・・・!

 

 

 

 途中で何度泣いたか。

 

美しいし、カッコいいなぁ・・・(*´ω`*)

 

もう、胸がキュンキュンです・・・。

 

 

 何べんも繰り返し見てます・・・(*´▽`*)

 

 

 

 

すっかりヅカファンになってしまった猫星人でした。

 

 

 この舞台はヅカファンでなくても見る価値アリです >^_^< ☟

 

 

 

 

 


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チョコレートケーキと味噌とレジスタンス。

 

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www.youtube.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれは夢?幻覚だったのだろうか?

 

今日みたいに暑い八月。私は深夜の大阪駅地下街を走っていた。

 

 

 

 

 

「田舎には仕事がないからな。」

あの男がそう言って街を出て行ってから三年。いきなりメールが入っていた。私は夏休みを早めにとって、男に会いに行ったのだった。

 

 

男は少しだけ驚いた顔をしたが、すぐに笑顔を作って昔のように冗談を言いながら

部屋へ入れてくれた。

「都会が珍しくってさ。連絡する暇もなかった。」

実際、そうかもしれないと思った。田舎では日が暮れると人々は家の中に入ってしまって、外に出ても音もしない。大阪の夜は暑苦しくにぎやかだった。

 

酒を飲みながら話し込んだ。

田舎の友達の事、親や親せきの話。近所の魚屋の親父さんが亡くなった事や

学校が統廃合で消えた事。そして政治と世の中の事。

男の話は仕事の事ばかりだった。

新しい職場では先輩が自分を買ってくれてやりがいがある、とか、

体裁のいい事を言いながら冷蔵庫から缶ビールを出している。

 

「何かつまみを作ってやろうか?」

料理が得意でもないくせに、私は台所に立った。冷蔵庫の中から化石のような野菜を

引っ張り出し、笑いながらフライパンを揺らしていると男が近寄って来た。

私の肩に手をかける。冷たい手だった。

(缶ビールが冷えていたから?)

振り向くと男の顔が目の前にあって、唇を寄せようとしていた。

滑稽なほど欲情に熱くなったその目を見た時に、手の冷たさとの対比が私には不思議だった。そして私は笑い出した。これまでこんなに笑った事はないとはっきり感じられるくらい、思い切り笑った。笑って笑って笑い転げた。フライパンをほったらかして、

床の上を転げ回って笑った。男は慌ててガスの火を止めた。私が笑い続けるのを見て、男は戸惑う表情で、

「飲み過ぎたか?」

と聞いた。私はまだ笑いが止まらなかった。そして男の顔に向かって吐き出すように言った。

「ハマったね?」

「何に?」

男は首をかしげる

「味噌トラップ。」

「はあ??」

 

答えに窮して戸惑っている男を後ろに残して、私は部屋を出た。

味噌トラップなんて言葉があるのかどうか知らないが、男の頭の中が日々の生活の事で一杯なのは見え見えだった。これこそが”奴ら”の望む貧乏人の姿。とりあえず、目の前の欲望を満たせば満足すると言うのか?

 

 

急げばまだ終電に間に合うかも知れない。

私は深夜の大阪駅へと急いだ。小雨が降って来た。

 

(地下街を突っ切っろう。)

 

そう思って地下街の入り口へ飛び込んだ。

ほとんどの店がシャッターを下ろし、『CLOSED』のカードが退屈そうに揺れている。

 

人気のない地下街はまるで中世のカテドラル(教会堂)のようにひんやりとして、

残酷な庶民の生活の鼓動を黙って聞いている。

 

私は何も考えないようにして走った。

足音が石壁に響く。誰の声も聞こえない。人影が消えた。

 

薄暗い地下道はもはやどこへ続いているのかわからなかった。とにかく走った。

所々にランプの灯りがともっている。それを頼りに進んだ。

 

息が切れて走れなくなるころ、天井からぴちゃんと水が落ちて来た。

地下道の空気が冷たいから?それとも

さっきの雨が本降りになって漏れて来たのだろうか?

 

立ち止まって辺りを見回すと、少し向こうにまだ明かりのついた店がある。

 

近づくとその店は薄暗いアンティークショップだった。寂しそうな顔をした老婆が

ぼんやりと座って昔の夢を思い出している。

私に気づいて顔を上げた。その顔には上品な皺が無数に刻まれていた。

 

中へ入るとその店は意外なほど広く、貴族のお城の応接間のように絨毯が敷き詰められ、年代物のキャンドルにろうそくの明かりが揺れている。

無表情な白い彫刻像に見つめられながら、引き寄せられるように奥へ進んだ。

 

「いらっしゃい。」

老婆が微笑む。

見るとカウンターの中にはケーキが並んでいた。

たぶん宝石でも並んでいるだろうと言う気がしていた私は幾らか拍子抜けしたが、

その分、気が楽になってガラスケースの中のケーキをながめ始めた。

その中に『ウイリアム王子が毎日食べているチョコレートケーキ』というタイトルがついた、小さなキューブ状のチョコケーキがあった。

 

手のひらで転がすサイコロよりほんの少し大きいくらいの立方体。それで500円。

口に入れれば一口で入る大きさでその値段なのだから、さぞおいしいのだろう。

マコサマだかカコサマだかもこんなものを気軽にオメシアガリニナルのだろうか?

私の頭の中に子供の頃母親にねだって買ってもらったおもちゃのティアラが浮かんだ。

プラスティックでできた安物のティアラが、子供の頃の私にはティファニーに並んでいる宝石のように高級品に思えた。自慢げに頭につけて喜んでいた子供の頃・・・。

 

 

そのケーキを一つだけ買って、逃げるように店を出た。

ペーパーバッグに見た事のない文様がきらめいている。

 

誰もいない地下道はランプの灯りすら一つずつ消えていく。消えそうなランプを

追い駆けるように走った。どこへ向かっているのかすら忘れ、私はただ走った。

 

(出られないかも知れない。)

 

そんな気がし始めた時、細い横道が一つあった。

とにかくそこへ入り込んで、石壁にもたれて荒れた呼吸を整えた。

人のいない地下道に時折、天井から落ちる水音が響く。

 

何故だかもう何もかもどうでもいい気がして来た。このまま地下道の横道で息絶えて、

干からびたミミズみたいになるのもいいかもしれない。

 

ふとさっきのケーキを思い出した。

袋を開いてそっと取り出すと、小さな立方体が発光している。

胸を張ったお姫様のようにまばゆく輝くチョコケーキを、私は口の中へ押し込んだ。

 

光り輝く甘美な快楽が身体全体を流れるように覆って行った。

全身の細胞が発光しているのがわかる。

 

きらびやかな宮殿、衛兵が敬礼する。重々しい扉が開く。

ゆっくりと羽のような足取りでお姫様は門の中へ入って行く。

静かにお辞儀をするタキシードの行列の中を、スカートのすそをつまんだ可愛らしいお姫様が歩く。微笑みながら、発光しながら。

 

チョコレートと同じように急速に溶けていく陶酔の中で、私は意識を失う事を喜んで受け入れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

気が付くと列車に揺られていた。

朝日が眼を射るのが嫌で、私は窓のブラインドを下ろした。

たくさんの人が列車の振動に合わせて右左と揺れている。

 

何気なくスマホを見ると、着信が残っていた。

私はお姫様のように悠然と微笑むと、その着信と男のアドレスを消した。

そして列車の振動に抵抗するように、身体を固くして窓によりかかった。

ブラインドの隙間から入り込む朝日は、気まぐれに誰かの顔を照らしているだけだった。

 

 

 

 

あれから何回も用事で大阪へ出かけたが、男の所はもちろん、地下街にも入らないようにしていた。たとえ入って見ても、もはやあのアンティークショップも老婆もいない事を知っていながら。

 

だが誘惑に負けて、私は一度だけあの店を探した事がある。

もちろん、どこを歩いてもそんな店はなかった。地下街はにぎやかな雑踏だった。

 

ほっとした。もう探す事はないだろう。

 

 

それでもブラインドの隙間から漏れる陽の光が、私の頭の中で時折、忘れられた骨とう品を輝かせる事がある。

子供の頃に自慢げに頭につけていたティアラ。

安物のプラスティックだと気づかなかった、あの白々しいティアラが、

今でも私には魅惑的な宝物として感じてしまうのは、

一体なぜなのだろうか・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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あなたは踊らずにいられるか!?ラ・ラ・ランドより面白い、真夏の夜の恋ミュージカル映画三選。

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又、三選ものになっちゃった。

 

 

 暑くって、色々あって、クサクサしているそこのあなた!

映画見ましょ!!>^_^<

 

基本、芸能って、ストレス解消の最も有効な手段。

 

『色々気に入らない事も多いけど、ま、明日も頑張るか。』

 

と思わせてくれる、ダンス映画三選。

 

 

 

 

 

ミュージカルはいっぱいあるけど、この三本は外せない。

 

まず、『巴里のアメリカ人』。(1954)

 

パリに絵の修行に来たアメリカ人、ジェームズと小粋なパリジェンヌのリズの

恋物語

1954って、想像もできない古さと思うだろうけど、これが全然古くない。

 

冒頭の三分間だけは少し古臭い気もしなくもないが、

上の画像にある50年代ファッションのめちゃめちゃ美しい女性・ニーナ・フォッシュが

出てくる辺りで、もう目が釘付けになった。

この映画ではニーナは脇役なんだけど、いや、もうその美しさ・・・!!

 

これほど華やかで気品があって、完成度の高い美人って最近見ない。

まあ、そりゃ、画像加工があるだろうけど、それにしても美しい。

古風であでやかで。

 

思わず見とれているうちに映画自体に引き込まれて行くんだよね。

その上、音楽はかの有名なガーシュイン

全編にガーシュインのジャズィな音楽が流れていて、その音楽に乗せて軽やかに踊る。

特に後半部分にある前衛的なダンスシーンは有名で、数々の舞台にリメイクされたのも

なるほど!の出来栄えです( `ー´)ノ

 

アメリカ国立フィルム登録所に登録されているだけの事はある。

まだ見た事のない方は図書館へGO!!

 

 

 

 

www.youtube.com

 

 

 

フラッシュダンス』(1983)

 

ダンサーになる夢を抱いて、昼間は溶接工(!)、夜はナイトクラブのダンサーをしながら必死に挑戦を続ける女の子の話。

ジェニファー・ビールズのお尻は可愛くって・・・(*´▽`*)。☟

 

www.youtube.com

 

 

 

 

 

 

いや、この人の情熱的な踊りは、きっと、挑戦し続ける人の気持ちそのものなんだと思う。

 

 

 

 

 

『きっとうまくいく』(2013日本公開)

 

www.youtube.com

 

 

 この映画はめずらしく劇場で見てしまった。

 

確か三時間くらいあるんだけど、一分も退屈しないで最後まで泣いたり笑ったり、

とにかくぶっ飛びブッ飛び!!

 

 いっぺんにインド映画のファンになっちゃった(=゚ω゚)ノ

 

舞台はインドでも有名な工科大学。

偶然知り合った三人組のうち、ランチョーという青年は何をやるのも想定外の人物。

 

う~~ん、それで、この映画、考えさせられる所がいっぱいあるんだよね。

学位を取らないと貧民から脱出できないプレッシャーにつぶされそうなラジュー。

カメラマンになりたいのに親の期待でエンジニアの道を取らされているファラン

 

ゴーマンな学長とその娘の医学生、ピア。

学長としばしば対立するランチョ―と恋に落ちる・・・。

 

 インドの社会の問題も見えて来て、

とにかく面白い。

陳腐な言い方だけど、面白くって我を忘れる、見て絶対損はないです!!

 

・・・・

 

 

 

熱い夏の夜。

 

でもこんなダンス映画を見たら、汗を流して踊ってしまうのは私だけでしょうか??

 

 ビールでも片手にどうぞ!!

 

 

 

 

 

 

 


 


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納涼!!2018 夏おススメの映画、三選。

 

 

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 激暑いし、

とりあえずホラーとかいうのを借りてみた。

よけい暑苦しいだけの汚ったねえ画面が、嘘っぽく繰り返されるのが失笑だった。

 

『フリンジ』とか『ボイス フロム ザ ダークネス』とか。

顔がドロドロ溶けていく・・・、なんて陳腐な事で寒くなんないよ。

 

で、レンタルベースでのお話ですが、この夏、新作で借りて見ても悔しくない、

ブッ飛びの映画を三本。

 

 

 

 

①ゲットアウト

www.youtube.com

 

黒人青年が白人の彼女の実家にあいさつに行く。

両手を上げて歓迎される。

ところがその家の使用人は黒人だけで、

パーティに来たのは白人だけ。

この家の人達の微妙に怖い行動・・・。

と、だんだん引き込まれて行くスリラーです。顔は溶けません。(笑)

 

 

 

 

 

②ブルースブラザーズ

 

 

www.youtube.com

 

 

知らない人もいるだろうから出しちゃった、1980年の作品。

 

旧作どころか、図書館レベルに古いのに、

これはもう、楽しい、めちゃ無茶楽しい話です!

 

往年のビッグミュージシャンが思いっきりソウルしてる。

レイチャールズ、

アレサフランクリン、

ジェームズブラウン・・・。

 

レジェンドたちのグルーブがノリノリで、かっこいいだけじゃなく、

所々にある微妙なジョークも笑えるし。

ナチス崇拝者団体が市民の罵声を浴びつつ・・・。

 

何と言っても、こんなに思いっきり馬鹿げた大騒ぎができるって、

もう、うらやましい・・・°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°

 

お金が無くってつぶされそうな、スラム街の孤児院を救うんだ、っていう、

とってもハートフルな目的があるにも関わらず(!)、

メッチャくっちゃに騒ぎを起こして、

果たして孤児院はどうなるの・・・?

 

 

 

 

リメイク版はつまらないから、本家版をどうぞ。

 

 

 

 

 

 

ブラックパンサー

 

www.youtube.com

 

 おおっ、これはミッケもんだった!

バットマン系は借りない私が、何となく借りてみたんだけど、

新作レンタルして後悔はないよ!!

 

マーベルスタジオだからかっこいいのは想像つくけど、

それにしても、設定がとってもいい。

 

アフリカの小さな国、ワカンダ。そこには世界で最も有用な金属が

産出される。ワカンダはその金属を使って、世界のどこよりも進んだ文明を

作っているのだが、その事は世界には隠している・・・。

 

だけど彼らの伝統衣装や儀式はやっぱりなんかアフリカ式で、

ついついこっちも、アフリカンドラムに合わせてリズム取っちゃう(≧▽≦)

 

アフリカの文化は遅れている、ていう変な固定観念のようなものが

いまだに心のどこかにある事に気づいて、

ついでその考えは吹っ飛んでしまった。

 

ホビットに出ていたマーティンフリーマンがCIA諜報員の役柄で出ているけど、

どう見ても冷酷なCIAよりファンタジーホビットに見えてしまう・・・笑

好きだな~~、この人。

 

 

 それにしても、アクションのかっこよさ、痛快さは言う事ナシ!!

 

 

爽快・・・!!✨でございます・・・°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°

 

 

 黒人ものの映画、三本でした!

 

 

 

 

 


 

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